特別養護老人ホームは、公的な施設の中でも最も(※)数が多い施設です。常に介護が必要な高齢者を対象とし、食事・入浴・排泄の介助を行います。利用料は他の施設と比べると安いことが特徴で、そのため入居希望者が多いのも特徴です。
特別養護老人ホームの介護、医療体制や、価格、メリットなどをまとめました。
入居の条件は2015年より変更されており、原則として要介護3以上の高齢者が対象です。(※)
しかし、要介護1や2の方でも特例的な要件を満たせば入居できます。その条件として、意思疎通が困難で日常生活に支障をきたす方・知的障害・精神障害を患っている方・家族による深刻な虐待が疑われる方・在宅生活が困難な状態にある方などです。これらの特例は市町村によって異なる場合があるため、役所などへの確認が必要です。
特別養護老人ホームに入居するための方法について紹介します。手続きには入所申込書・介護支援専門員等意見書・介護保険証写し・サービス利用票別表(直近3か月分)などが必要です。申込書は施設に直接受け取りに行くか、郵送またはインターネットでダウンロードできます。必要書類が揃ったら、施設に郵送してください。
提出された書類をもとに審査が行われ、入居が許可されたら、手続きを開始。契約書・重要事項説明書・身元引受書などに署名・捺印が必要ですので、必ず持参しましょう。
また、入居後は住民票を施設に移動する必要があります。転居・転出の手続きも忘れずに行ってください。
特別養護老人ホームは、低価格で利用できるため人気があります。そのため、入居までに待機時間が長くかかることも少なくありません。2015年に入居条件が変更されたのも、待機時間を減らすことを目的としており、現在では若干解消されつつあります。
とはいえ、地域によってはなかなか入居できずに、介護度が進んでしまったり、生活に支障をきたしたりする心配があります。時間に余裕を持って申し込みをしましょう。
ここまで特別養護老人ホームがどんな施設なのか概要をご紹介しました。自分がどの施設が向いているかわからない方はまず、老人ホームにどんな種類があるのか知ることが大切です。トップページでは老人ホーム種類を一覧で解説するとともに、豊かなセカンドライフを送ることができる介護付き有料老人ホームを3社掲載しています。人生100年時代に備えるためにも、ぜひチェックしてみてください。
特別養護老人ホームでは、誰もが快適に過ごせるよう生活全般の支援が行われます。主なサービス内容としては、食事の提供や介助・入浴介助・排泄介助などです。介助は一人ひとりの介護度によってプランが作成されますので、適切なケアが期待できます。
少しでも健康的な生活が送れるようリハビリや機能回復訓練などを行っている施設もあります。季節の行事や外出なども楽しめ、商業施設などでの買い物が楽しめる施設もあります。看取りに関しても対応可能ですので、終の住処として特別養護老人ホームを選ぶ方も増えています。
また、特別養護老人ホームには入所せずに短期での利用も可能です。家族がリフレッシュしたい時などに短期間の利用をしてみてもいいでしょう。
65歳以上で要介護3以上に認定されている方は特別養護老人ホームへの入居が許可されます。在宅での介護が難しかったり、身寄りがなかったりする方が対象ですが、これらの入居条件を満たしていても入居できない場合もあります。
入居を拒否される理由で多いのは、24時間にわたり手厚い医療ケアが必要な場合です。特別養護老人ホームには医者または看護師の常駐はしていません。そのため、専門的な知識が必要となる医療ケアを行うには限度があり、入居ができない場合があります。
また、感染症に罹患している方も入居はできない可能性が高いです。集団生活を行うためにも感染源となるような方は断らざるを得ないのが実情です。
食事は一人ひとりに合わせた食事メニューが提供されます。旬の材料を使用した彩り豊かな食事が楽しめるのも、入居者にとっては嬉しいポイントでしょう。提供に関しては、嚥下状態に合わせて食事をすりつぶしたり、とろみ食の準備したりすることなども可能です。
1人で食事ができない方には食事の介助もしてもらえるため、家族が出向いて介助をする必要もありません。
また、誕生日や年間行事の特別な食事を準備する施設も多く、食事によって季節感が感じられるのも魅力です。
特別養護老人ホームでは生活の向上を目指しつつ、レクリエーションが実施されている施設もたくさんあります。レクリエーションを通じて他の入居者とのコミュニケーションも取れるため、初めて入居した方の孤立の心配もありません。
主なレクリエーションとしては、歌ったり体操をしたりといった準備がいらない簡単なものから、合唱や楽器の演奏など多少高度なものまで幅広くあります。入居者はこれらのレクリエーションに挑戦し、多彩な生活を楽しむことができます。
※多床室、要介護3の場合
国が定めた『基準費用額』により決定され、部屋のタイプによって金額が異なります。介護ベッド・家具類は完備されています。
食事は1日3食です。外出した場合も3食分の食費が請求されます。入院や外泊の場合は、食事の停止を申し出れば食費は請求されません。
医療費・理美容費・嗜好品費などが含まれます。レクリエーションで実費が生じた時も請求があります。
入居するお部屋のタイプや介護の内容により金額は異なります。一般に介護度が高くなると施設介護サービス費は高くなります。
基本料金外でかかる費用として、看取りケアがあります。看取りケアとは医師による判断と本人の希望により、終末期に向けて行われるケアのことです。家族の同意のもと、医師・看護師・介護士が介護計画のもと介護が行われます。この時に生じる費用を看取り介護加算といい、亡くなる45日前から適用されます。看取り加算以外にもターミナルケア加算をはじめ、さまざまな加算項目が設定されており、それぞれ費用が必要です。
特別養護老人ホームのうち、地域密着型としている施設があります。地域密着型特別養護老人ホームとは、定員数29人以下の小規模施設を指します。施設がある市町村に住民票がある方のみ入居資格があり、より地域に密着した介護サービスを提供している施設です。
さらに広域型特養を本体施設とし、それに隣接するように建てられているサテライト型と家庭的な雰囲気の中介護が行われる単独型に分けられます。
一言に特別養護老人ホームと言っても、異なる特徴を持つ施設が存在しますので、しっかりと内容を理解し、自分に合った施設を選びましょう。
費用が安く人気のある特別養護老人ホームですが、メリットばかりではありません。利用する方によってはデメリットと感じるものもあるはずです。ここでは特別養護老人ホームのメリット・デメリットを紹介します。
入居一時金が不要であることは入居者にとって大きなメリットです。加えて、月額利用料の半額が医療控除の対象になるのも負担を大きく減らすことにつながります。所得に応じて利用料が決定され、さらに利用料負担軽減制度の利用が可能です。
一度入居すれば、病院での医療ケアに切り替わらない限り終身で入居できます。介護度が進んだり、認知症になったりしたとしても転居する負担がありません。基本的に看取りまでしてもらえるのは家族にとって大きなメリットと言えるでしょう。
特別養護老人ホームでは、介護スタッフが24時間体制で常駐することは厚生労働省の配置基準によって義務付けられています。介護についての詳しい知識と経験を持ち合わせたスタッフによる見守りが行われるため、本人はもちろん家族にとっても安心できます。
入居一時金が不要で、利用料が安いと言った点で、特別養護老人ホームはとても人気の施設です。そのため、待機期間が生じる可能性があります。待機期間は地域や施設によって異なりますが、半年以上待たなくてはならないケースも少なくありません。
介護スタッフの24時間常駐は義務付けられていますが、看護師はその範囲にありません。そのため、医療ケアが必要になった際や吸引などの医療行為は、適切な措置ができない可能性があります。医療依存度が高い入居者にとってはデメリットと言えるでしょう。
特別養護老人ホームは利用料が安く、とても人気の施設です。そのため、入居が叶うまでに待機期間が生じるケースが目立ちます。しかし、入居できれば看取りまでお世話になることができ、在宅で介護ができない家族にとってはとても頼れる施設です。
また、食事やレクリエーションなども従実しており、介護スタッフとのコミュニケーションを持ちながら穏やかに過ごすことができます。一言に特別養護老人ホームと言っても、さらに細分化されており、お住まいの地域にある特養はどの部類なのか確認し、理想の施設を見つけてください。
「遠方で暮らす子供に迷惑をかけたくない」「身体が思うように動かなくなってきた…」
人生100年時代と呼ばれる今、介護の負担や高齢者の1人世帯の増加など、課題は多岐にわたります。
そんな悩みを解消してくれるのが、介護付き有料老人ホームで介護サポートを受けながら共同生活を行うこと。
ここでは、必要な介護レベル別におすすめの施設をご紹介。入居先を見極めるための参考にしてください。
(※)深夜の帰宅になる場合は届け出もしくは連絡が必要。